09.20.金  
秋の授業探訪7〜3年「地理B」@
 少し肌寒さを感じるほどの涼しい風がそよぐ朝になりました。昨日の後期生徒会役員選挙は昨日のうちに開票作業が行われ、会長は2年5組高取さんがわずか24票差で選出されました。副会長の2年3組山口さん、1年2組武田さん、会計の1年5組田口さんの3人は皆信任されました。今朝開票結果が張り出され、併せて書記に候補者がいなかったため補欠選挙の公示もされました。

 さて、今日は3時間授業見学をしました。1時間めは3年「地理B」、社会科教室です。週4時間19人が学んでいます。

 今日のテーマは世界の気候のようです。地図帳を参考にしながらヨーロッパとアフリカをケッペンの気候区分に塗り分けます。続いて緯度ごとに陸地を一つにまとめて表記したた「仮想大陸」を気候区分に塗り分けます。南緯60度付近は陸地が全くないことが直ぐにわかります。生徒たちはとても丁寧に色鉛筆できれいに塗り分けていきます。



09.20.金  
秋の授業探訪7〜3年「地理B」A
 先生は、仮想大陸に表したケッペンの気候区分の分布は、気象衛星から写した雲画像の分布とよく一致していることを、1枚の大きな写真を見せながら説明されていました。赤道付近はたくさんの背の高い雲が帯状になって白く写っています。逆にその両側は雲がほとんどありません。これが中緯度高圧帯で大陸では砂漠やサバンナが広がっています。

 先生は、別の1枚の写真を掲げて質問されました。
 
 「これは熱帯雨林〜アマゾンのジャングルです。真ん中に見えるのは何ですか。」
 むき出しになった赤色土(ラトソル)が緩やかなS字を描き鮮明に見えています。
 「日本では道をつくっても自然にブッシュが生えてこうはなりません。」
 度重なる雨に土がどんどん流されて再び草木が育つことはとても困難だというのです。だからこのようにジャングルを切り拓いて作られた道はいつまでも草が生えることないそうです。
 話題は人々の生活へと広がります。にわかに流行しているタピオカの原料のキャッサバは熱帯に暮らす人々の主食として各地で栽培されています。この地域で長年にわたって行われてきた「焼畑農業」は人々の自給自足のための持続可能な小規模のもので、火入れをして数年は栽培・収穫できる耕地として利用し、しばらく休ませることによって再び耕地として繰り返し利用してきました。

 「焼畑農業が森林破壊の原因である」と簡単に考えるのは誤解で、商品作物として大規模な耕地を焼畑によって確保する場合に取り返しのつかない森林破壊が生じていることに中もうする必要があります。私たちがタピオカを口にする時、どこでどのように耕作されたキャッサバなのか考えることは大切です。SDGsの17項目の15番目に掲げられた目標「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」は私たち自身が当事者なのです。

 先生は、最後に熱帯雨林本来の写真を見せられました。ここにはゴリラやチンパンジー、オランウータンなどが豊かな森の恵みを受けて生活しています。かつては私たちもその一員だったといわれています。ある時、私たち人間は東アフリカの密林の樹上から下りて大地を歩きはじめました。以来およそ700万年の歳月を経て現在の人間の社会が築かれました。生徒の皆さんは、最後の写真を見せられた先生の深い思いを感じ取ることができたでしょうか。 



09.20.金  
秋の授業探訪8〜1年「国語総合A」
 3時間めは1年1組「国語総合A」の授業を見学しました。はじめに漢字テストです。2〜3分ではできそうにないボリュームのあるものでした。生徒たちは熱心に取り組んでいます。

 今日の内容は、黒柳徹子さんの随想「ツゴイネルワイゼン」です。バイオリニストで戦前は新交響楽団、戦後は東京交響楽団のコンサートマスターとして活躍された父、守綱さんへの想いをバイオリン独奏曲「チゴイネルワイゼン」を通して綴られたものです。

 幼い頃、自宅で父がよく練習していた曲。その名が「ツゴウネルワイゼン」と戦時中に兄から教えてもらったこと。そして、戦場で上官であった少尉さんからの長い手紙を通して初めて知った戦地での父の姿。シベリア抑留中にも慰問に収容所を回りバイオリンを奏でていたこと…。
 父の葬儀にさえ番組収録で行けなかった徹子さんにとって、父の死を残念に思って送ってくれた少尉さんの手紙は「チゴイネルワイゼン」の響きとともに寡黙であった父の姿が頭の中いっぱいに蘇ったことでしょう。

 「みなさんは思い出の曲はありますか。」 

 先生は、この学習のはじめに生徒の皆に問いかけられたそうです。生徒たちもそれぞれに心に残る曲があることでしょう。いろいろと答えてくれたそうです。
 「戦争中であっても幼ない子どもにバイオリンを聴かせていた『父』のように、音楽の力でやさしさも生まれる。」と先生は締めくくられていました。



09.20.金  
秋の授業探訪9〜3年「数学演習α」
 4時間めは3年「数学演習α」です。受験で数学TAが必要な生徒26人が選択しています。今日は「円順列、重複順列」の学習です。1年生の時に学んだ内容ばかりですが、単なる復習ではなく、機械的に記憶している公式に代入して求めるのではなく、「なぜこの公式を使うと解けるのか」に注目し、公式を使わずに「どのように考えればよいか」を頭をよく使って考えていくと答えを導くことができることを重点的に教えられていました。
 
(1)「6人が円形のテーブルの席に着く座り方は全部で何通りありますか」
(2)「そのうちAさんBさんの2人が必ず隣になる座り方は何通りですか」

 このような問題は小学校高学年算数の問題集にも載っています。高校で扱う順列では解く方法を一般化して公式を導き、100人でも1000人でも解けるようにしているのです。先生は元々どのように考えればよいかに注目させることによって、「公式を使わずに解く」と言いながら「公式を自分で導き出す」ことを教えられていました。

(3)「5色の小石をつなげて腕輪を作るときは全部で何通りありますか」

 腕輪は裏返す(腕にはめる時の向きを逆にする)ことができるので「2で割ればよい」ことがすぐに分かります。それを丸椅子を使って楽しくとても分かりやすく教えられていました。生徒たちの視線は先生の言葉や身ぶりに釘付けになっていました。自分で考えて答えを導く楽しさを数学で味わってほしいと願っています。いろいろな問題をたくさん解いてください。将来いろいろな場面で数学で使った考え方が役に立つ日が必ず来ると言ってよいと確信しています。