08.29.木  
第2回職員実働防災訓練@
 今日は午後2時から「第2回職員実働防災訓練」を実施しました。天候が心配されましたが、昨日の昼には雨が止みグラウンドの水はけも良く、予定通りグラウンドへの一次避難を想定した訓練を実施しました。

 この訓練は、阪南中央病院(松原市)で毎年行われている実働防災訓練を参考に、昨年度本校で初めて実施したものです。今年度第2回となる訓練を実施するに当たり、少しでも露呈した課題を解決するとともに、「想定外を想定内に入れる」ことを念頭に養護教諭の先生方と協働して実施要項を策定しました。
 
 この訓練は、災害発生時に職員集団として最善の行動がとれるよう訓練を積み重ね、一人でも多くの若いいのちを助けることを最も重要な目的としています。

 また、実際に被災した時を考え、地域と一体になった防災への取り組み(訓練や備えなど)を進めるため、今回は地域の方29名に、@対策本部、A救護所、B正門 の3か所での評価者及び避難住民役として一緒に参加してもらい、近隣の小・中学校の先生方にも多く見学に来ていただきました。

 さらに、今年度は大阪府教育庁の「学校安全総合支援事業」により、日本防災士会大阪支部事務局長及び本部全国講師の木村郁夫さんを学校防災アドバイザーにお迎えし、より実践的な訓練になるように指導助言をいただくことになりました。
 また、昨年度に引き続き、福島大学うつくしまふくしま未来支援センターこども支援部門特任教授の本多環さんをはじめ、大阪府教育庁保健体育課、東大阪市危機管理室からも評価、指導助言者としてお招きしました。元気いっぱい35名の硬式テニス部員にも協力してもらいました。

 午後2時、本校教職員53名と、ご来賓、地域の方、見学に来られた学校関係者72名、硬式テニス部員35名が集まりました。図書室は超満員です。



08.29.木  
第2回職員実働防災訓練A
 訓練は昨年度と同様に事前に作ったシナリオのとおりに行います。今年度は1週間前に各担当に分かれてそれぞれ「何に注意してどのような行動をするか」を明記したアクションカードに沿って読み合わせ、各自の行動と連携を確認しました。

 まだ2回めなので難易度を上げず、ホームルームでクラスごとに文化祭の準備をしている最中に大地震が発生した想定にしました。授業中や休み時間、昼休みや放課後など地震発生時刻の設定を変えるだけで、全生徒の一次避難と安否確認を完了させることが一気に難しくなりそうです。年々難易度を上げ、難しい設定でのシナリオを作って実施することが大切です。
 もちろん、どんなに想定をしてもシナリオのとおりにできるはずはありません。しかし、どんな場合を想定しても予めシナリオを作れるようにしておくことが大切です。地震が起こる前から、「こんな場合はどうしようもない」というような場合がないようによく考えて準備しておくことが大切だと考えています。

 今日は、まず対策本部を事務室前に設置し、分担して避難経路を点検・確定してから、生徒たちに移動開始のアナウンスしてグラウンドへの一次避難を始めました。その間に対策本部もグラウンドに移動、救護所を少し離れた場所に設営し、食堂の方や工事等で校内にいる業者さんなどもグラウンドに誘導します。同時に外部から地域住民の方々が次々に校内に避難しに来られます。

 生徒役の硬式テニス部の部員さんたちに協力してもらいながら、私たちがきちんと適切な行動ができているか検証していきます。



08.29.木  
第2回職員実働防災訓練B
 「先生や生徒たちの上履きはスリッパでいいのか。」
 「避難する時にヘルメットなど頭部を守るものを装着しなくていいのか。」
 
 本校教職員が生徒と一緒に避難する様子を見ながら、見学に来られた先生方もいろいろと疑問に感じられていたようです。支援学校では生徒も先生方も上履きは靴であること、隣の北山本小学校では全生徒のヘルメットを用意されていることなどを聞くと、本校は平常から直ちに改善すべきところがまだまだあります。

 校舎から避難されてきた生徒や先生方が、ホワイトボード前で点呼の確認を取っています。防災アドバイザーの木村さんによると、避難時に最も危ないのは「建造物の中から外に出る時」だそうです。その時、落下物が頭上にドスンと降ってくることが多いのだそうです。だから、生徒を避難させるには、先に誰かが生徒が出てくる出入口の外から見ていて、外壁のコンクリート片などが上から落ちてこないか見ながら誘導する必要があります。

 今回の地震では、南館で普段の通行量の多い川側階段の損傷が激しく通行不可、体育館と南館の間を通ることも危険であると判断し、全員校舎の西(山)側を回ってグラウンドに出る方法を取りました。

 校舎内で負傷して取り残されている生徒がいれば、一刻も早く発見し手当てをすることが求められますが、一方で十分な安全確認を怠り、避難誘導中に健康な生徒たちに怪我をさせてしまってはなりません。

 想定外の事が起こっても、落ち着いて最善の判断と指示が迅速にできるような訓練を繰り返すことが必要です。



08.29.木  
第2回職員実働防災訓練C
 避難住民として参加した地域の方々と硬式テニス部の生徒たちには、例えば「70歳、健康」「大腿部裂傷」というようなカード胸に吊るしてもらいました。パニックや過呼吸になった生徒もいます。一人ひとり的確なトリアージを行い、必要な最小限の応急手当を行うことができているか、手当の優先順位は適切かなど、救護所運営についても評価してもらいました。

 生徒たちは、プラカードに書いてあるとおりに「名演技」をしてくれました。後の振り返りで救護班の先生が「訓練だと分かっていても『パニック』はすぐに伝染することがわかった」という発言がありました。一方で、避難してきた生徒たちに、アドリブで「心配しなくていいよ。落ち着いてもう大丈夫だから」と生徒たちをなだめ励ましていた先生がおられました。研修後、福島大学の本多先生から「校長が言う前に生徒たちに『大丈夫だよ、安心していいよ』と呼びかけていた先生がおられたのは素晴らしかった。本当に被害に遭った人たちがどのような思いで生きてこられたかを目の当たりにした生徒たちが、今回の訓練に参加していたらどんな雰囲気になっていたか」と、教育の視点から防災を捉えた学校づくりの必要性があることを教えてもらいました。私自身、まだまだ思慮が足りないと感じました。訓練中、もっと神経を研ぎ澄まし、全ての瞬間において全責任を負う覚悟をして臨む自覚を持つことが責任者として必要です。

 いかに「当事者の思い」に自分を重ねることができるかが肝であることは、防災についても同じです。



08.29.木  
第2回職員実働防災訓練D
 最初の地震から一次避難点呼完了まで20分、その間に強い余震が2回発生するシナリオになっています。左の写真はグラウンドで余震発生時にしゃがみ込んでいるところです。

 また、点検中に行方不明が判明した生徒2人と担任の先生については、台本では怪我をしながらも二人の生徒を助け自力で脱出してきたことになっていますが、そのまま見つからなかった場合はどう行動するのがよいのでしょうか。

 台本にグラウンドまでは一緒に避難してきた先生が後から行方不明になり、大怪我をしていた状態で体育館前で発見され、ストレッチャーで運ばれ救急搬送するというシーンもありました。これは、グラウンドに難を逃れ避難し集まったおよそ800名の生徒や先生方の点呼が完了して、ほっと一瞬気を抜いた瞬間に誰も気づかないうちに誰かがいなくなるようなこともあるのではという想定によるものです。避難・集合して1時間もすればトイレに行きたくなる人も出てくることでしょう。

 この訓練はここまでですが、このあと仮設トイレの設営や避難住民や生徒の睡眠場所の確保、雨天時の対応や冬季ならば低温への対応など、しばらくは休む暇はなさそうです。
 
 また、生徒たちは家族や友人などとの連絡を取りたがることでしょう。もちろん私たち教職員も同じです。先に経験された方々がどのようにして乗り越えられてきたか、学ぶ機会が必要だと強く感じました。



08.29.木  
第2回職員実働防災訓練E
 訓練は予定より10分時間が延びました。台本の段階から予想されていましたが、地震が発生して避難指示の放送があるまでじっと待っている生徒や先生にとっては、もっと早く避難開始した方が良いかもしれません。「防災に正解はない」と言われますが、何が適切解か的確解か訓練を繰り返しながら追求し続けることが重要です。

 実働訓練終了後、図書館に戻って振り返りを行いました。各班で振り返り、見つかった課題などを発表してもらいました。次に内部評価者の先生及び地域評価者の方からの評価報告をしてもらいました。今回は地域の方との打合せの時間が短く不十分であったため、地域の方々にとって主体的な訓練とは程遠いものになってしまいました。一次避難については、一つの学校という場所で、生徒のいのちを守る教職員と地域住民の方々が別々にそれぞれ主体的に動くような訓練になるように、来年度に向けて打ち合わせを丁寧に行いたいと考えています。

 一次避難が完了し、家族とも連絡が取れてから、復旧・復興に向けて力を合わせて頑張る時に、地域の物的資源を本校の生徒たちのために利用させてもらったり、逆に高校生という人的資源を地域の人々のために利用したりすることは、阪神大震災や東日本大震災の時に実際に多くあったそうです。そのためには日頃から地域と学校が緊密な関係で繋がっていることが大切です。元気に学ぶ本校の生徒たちが地域に出向き、顔と顔を合わせて繋がるような取り組みを「教育」の観点をもってさらに進めていきたいと思っています。

 質疑応答のあと、学校防災アドバイザーの木村さんからの指導助言をいただきました。続いて大阪府教育庁教育振興室保健体育課の入澤指導主事、東大阪市危機管理室木下主査からもご指導ご助言をいただきました。池島学園の池脇高校先生、山口副校長先生、北山本小学校の爲房校長先生からも今後のヒントになるアドバイスをいただきました。そして、終わりに本多先生から「昨年度とは見違えるほど先生方の取り組み方が積極的になった」と褒めていただきながらも多くの課題を示唆してくれました。本当にありがとうございました。

 今回もたくさん課題が見つかりました。一つひとつ克服して前に進んでいきたいと思っています。長時間にわたり最後まで参加してくださいました多くの府立学校の先生方、池島学園、北山本小学校の先生方、地域の皆様、ご多用のところありがとうございました。練習を中断して参加してくれた硬式テニス部の皆さんも貴重な時間をありがとうございました。

 数十年後には襲来するといわれている南海地震まであと何度このような訓練ができるでしょう。起こりうるさまざまなパターンを想定した訓練がすべてできることは決してありませんが、このような訓練を積み重ねることが決して無駄にはならないと確信しています。地域と一体になった実働防災訓練が広がり、「災害に強い大阪」のまちづくりが進みますことを願っています。先生方お疲れさまでした。ありがとうございました。