06.05.水  
すごいすごい〜3年「生物」@
 今日は2時間めの3年「生物」の授業を見学しました。生物工学、あるいは、看護・医療系大学や専門学校への進学を志す生徒34人が選択し、週4時間みっちり学んでいます。

 今日の実験は「原形質流動の観察」です。毎年、この時期に中庭で可憐な花を咲かせているムラサキツユクサの雄しべの毛を顕微鏡で見ると、細胞内の原形質流動を見ることができます。ムラサキツユクサの雄しべは花弁とほぼ同じ紫色に染まっているため、染色液を使わずに観察できるので、学校の授業でよく用いられます。

 上の3枚の写真を見て、出てくる言葉は「すごいすごい」。授業が終わって、ふと我に返り、自分はなんとすごいものを見てスケッチしていたのだろうと思うのです。

 日ごろ何げなく目にする花に、近づいてルーペを当ててよく見ると、雌しべや雄しべの色や形がよく分かり、さらに雄しべを取り出して顕微鏡で600倍にして見ると、雄しべの毛を作る細胞の一つひとつがよく見え、しかもその内部が流動している様子も見えるのです。ルーペや顕微鏡という道具を使いながらではありますが、自分の目をどんどん見る対象に近づけていくだけで、こんなにも見える世界が違うことに「すごいすごい」と感動しざるを得ません。

 人間の目の分解能は0.1mmぐらいだそうです。それより小さいものは識別できません。ところが、光学顕微鏡を用いるとその1000分の1、電子顕微鏡を用いるとさらにその1000分の1の0.1nm(ナノメートル)まで識別できるのです。
 今やiPs細胞を培養して身体の様々な組織細胞を作る研究が世界中で進められていますが、私たちはナノレベルの組織や構造を識別して操作できる技術をすでに獲得し、たくさんの「不可能」を「可能」にし続けてきたことに、やはり「すごいすごい」と思うのです。

 熱心に観察する生徒たちを見て、そんなことにも思いを巡らせてほしいなと思いました。



06.05.水  
すごいすごい〜3年「生物」A
 生徒たちはとても熱心です。まず低倍率でターゲットの細胞にピントを合わせて、600倍の高倍率にして原形質流動の様子を観察します。よく流動している細胞もありますが、動いているように見えないものもあります。今日は細長い形の細胞の方がよく動いているように見えました。

 流動の様子を観察したら、その速さをマイクロメーターを使って求めます。一つひとつの細胞が確かに生きていることを実感し、観察している細胞を大きくスケッチしていきます。決して塗りつぶすことなく線と点で丁寧に描いていました。