06.21.金  
「伊豆の踊子」を読む〜3年「現代文B」
 懇談週間の週末を迎えました。今日も午後から保護者の方々がたくさん来校されていました。ありがとうございます。夕方の大雨に遭われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。時間雨量80ミリを超えるような猛烈な雨は私が幼少の頃は滅多になかったように思いますが、今は全く珍しくなくなったように感じます。

 3時間め、3年7組の現代文Bの授業を見学しました。欠席はゼロ、全員出席で居眠りしている生徒もいません。

 今日は川端康成の初期の代表作、数々の映画やテレビドラマにもなった「伊豆の踊子」の最後の授業です。
 先生は、主人公の「私(20歳)」は19歳の川端康成本人であること、年齢を1つ誤魔化したのは、小説の中に「煙草を吸う」場面があったからだと思われることを伝えられました。そして、1歳7か月で父を亡くし、2歳7か月で母を亡くし、その後も次々と身内を亡くし、ついに天涯孤独となっていく康成の生い立ちや、東京の喫茶店で出会った初恋の人との婚約を理由もわからず破棄されて、失意の中、孤独や憂鬱な気持ちから逃れるために伊豆へ一人旅に出たこと、そこで出会った旅芸人一座と道連れとなったことなど、康成自身の実体験に基づいて描かれた小説であることを伝えられました。

 主人公に康成自身を重ねて描かれた言葉の一つひとつについて、生徒たちは言葉を通して康成に思いを馳せる「深い学び」へと誘われていきます。

 「涙がぽろぽろカバンに流れた。」「美しい空虚な気持ちだった。」

 主人公の「私」を透かして見える康成の心情はどんなのであったのでしょう。先生はアンケートと称して、生徒たちにぐいぐい迫っていかれます。とても奥行きの深い学びの時間でした。もう一度、久しぶりに「伊豆の踊子」を読んでみたいと思いました。ありがとうございました。