05.13.月  
おだやかな昼休み
 直射日光が「強いなぁ」と感じるようになりました。昼休みになると、教室のあちらこちらの窓から生徒たちの声が放たれて、中庭を囲む校舎にぶつかりあって反響し、ふわりと柔らかくて優しいハーモニーとなって聞こえてきます。音のメインは歓声と笑い声、そして時おり叫び声。私は生徒たちのいろんな声が混ざり合ってできたこの響きがとても好きです。

 生徒たちの声に誘われるように中庭に出てみました。すると、池の向かいのベンチで車座になって談笑しながらお弁当を食べている1年生のグループがいました。クラスもクラスも違いますが、いつの間にか仲良くなって、ここに集まって昼休みを過ごすようになったそうです。

 食堂前のベンチでは、こちらも男子生徒が集まっていました。一つは同じクラスで、「アルフォートが大好きな者が集まった仲間なので、『アルフォート民』と呼んでください」と言われました。しかし、テーブルの上にはアルフォートはありませんでした。もう一つのグループは、クラスもクラブもバラバラで、こちらもいつの間にか仲良くなったとのことです。

 こうして、集まってお昼ご飯を食べながらお喋りをするのもいいでしょう。あるいは、図書室で一人静かに本を読んだり、瞑想にふけったりするのもいいでしょう。昼休みの時間も目標に向かって自習室で勉強している人も立派です。みんながそれぞれの昼休みを心穏やかに楽しく過ごしていることを願っています。

 随分前になりますが、1年生の担任をしていた時、春の校外学習でカレーライスをみんなで作っていた時に、1人ぽつんと壁にもたれて何もしない生徒がいて、とても気になったことがありました。「どうしたの?」と訊くと、「私は、与えられたこんなことを皆と一緒にするの意味がわかりません。なぜ一緒にカレーを作らないといけないのですか」と腕組みをしながらはっきり答えてくれたことを今でもよく覚えています。彼女とは、雑談をしたり、いろいろな人の話をしたりしました。やがて皆と一緒に何でもするようになり、特に文化祭では大いに活躍したことを思い出します。

 その後、彼女は芸術系の大学へ進み、今では立派な舞台脚本・演出家として、仲間とともに多くの人々の心を震わせる人になっています。

 「いろんな人がいるから、自分も自分らしくできる。」

 互いの違いを認めあうことが、心豊かに生きるポイントだと思っています。