奇跡の文学「源氏物語」〜3年「古典B」
今週から植木の剪定業者さんが来られて、校庭の樹木の剪定が行われています。昨年はそのままにしていたグラウンド南側のイチョウも今年はバッサリ切ってもらいました。これでたくさんの落ち葉が排水路を埋め尽くすこともなくなります。
4時間めに2年3組で行われていた「古典B」の授業を見学しました。担当は増田先生。はじめに簡単な古文単語の小テストをしました。4択の単語の意味を問う8題か書かれたプリントを1分程度でささっと答えてすぐに回収です。授業が始まって5分も立たないうちに回収も済んでしまいました。なんと速いんだろう!」と感心しましたが生徒たちは慣れっこのようです。
次に、「源氏物語」より「光源氏誕生」のシーンの学習のまとめの時間です。B5サイズのプリントが配られ、8つの質問が書いてありました。
◆「【いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふ】について、このことは物語の展開とどのように関係してくるか。」
◆「【ましてやすからず】について、『更衣たち』はなぜこういう心理に陥るのか。女御たちと比較して考えよ。」
◆「【人のそしり】について、どういう事柄に対する『そしり』なのか。」
このような質問の答えを生徒たちが前に出て黒板に解答していきます。答え合わせをしながら先生がおっしゃいました。
「答え合わせだけではこの作品の素晴らしさは分かりません。他の作品にはない大きな特長があります。」
四百字詰原稿用紙2000枚という長編を書きあげた紫式部のエネルギーはどこにあったのでしょう。千年以上も前、人の心理を深く読み込ませるような作品は1つもなかった時代に、この世に人が生まれて、生きて、人を愛し、別れ、死んでいくという生身の人間の心情を十分に描き上げた作品は、少なくとも日本では全く初めてのことでした。
また、平安時代仮名文の模範的な文体を完成させた功績も特筆すべきことでしょう。源氏物語は、まさに日本古典文学の最高峰として翻訳され世界中の多くの方に読まれていると聞きます。平安の宮中に思いを馳せながら、この作品を十分に味わいたいものです。