10.13.土  
風の彩り
 よく晴れた風が気持ちいい日和になりました。本校の近くには背の高い建造物が全くと言っていい程なく、360°のパノラマを楽しむことができます。東側には南北に連なる生駒山〜金剛山系が端から端までその稜線を見ることができますし、西側は河内平野を一望することができます。

 昼下がりに4階まで上がってみました。上空の風が強いのでしょうか。積雲がところどころ箒で掃いたように風で流されています。太陽の近くの雲は、眩しく純白に輝く所と陰になって濃灰色の所とが入り混じって、周りより太陽光が強調されて見えます。

 北向きの窓を開けるやいなや、ふぅわっと予想以上に強い風が入ってきました。何色でしょう。何か色があるように感じます。決して透明ではないとても彩り豊かなものが顔にあたっている感覚です。立秋を歌った「めにはさやかにみえねども…」は「風の音にぞ」でしたが、今感じているのは「音」ではなく確かに「色」なのです。

 しばらく風にあたっていると、なんとなくわかったような気がしてきました。いま見ている景色を作っている色の一つひとつがそのまま風となって、瞳孔ではなく肌で感じているのです。

 今見ている景色をそのまま見ている時はその対象を「景色」、光の濃淡ふが印象強い時は「光景」、そして、「景色」や「光景」が風となって身体全体で感じる時はその対象を「風景」という言葉を使うのだと、勝手に分かったような気になっています。風景画を好んで描いた印象派の画家たちは、彩り豊かな風を感じていたのかもしれません。

 考査中の土曜日、学校は静かです。考査問題の印刷や授業の準備などで先生方が来られています。私はというと、今週は出張ばかりで溜めてしまった仕事をしに来たのに、気持ちいい風に当たってぽーっとしている有り様です。