彼岸花と秋の空
中庭の一角に彼岸花が咲いています。
彼岸花は本当に不思議です。暑い夏の年も、冬の寒さが厳しかった年も関係なく、毎年お彼岸の頃にピタリと合わせて、にょきっと若草色の茎を伸ばし、大きな朱色の花を咲かせます。まるで暦を知っているかのようです。
黄金色に輝く田んぼの畦道に咲く彼岸花のある風景が子どもの頃のお気に入りでした。へのへのもへじの案山子が少し斜めになって田んぼの真ん中で威張っているのを、チュンチュンと雀たちがものともせず飛び跳ねています。獲物でいっぱいの虫籠をぶら下げて、網の棒を振り回しながら、スタスタと家路についていた瞬間をまた思い出しました。
あの頃に戻ってみたいとも思います。いやいや、それはもう堪忍してほしいとも思います。いつも生徒といると時々わからなくなりますが、私も歳をとったものです。今夜はお月見、少しずつ雲が広がってきました。ゆっくりと眺めることができるでしょうか。
地面から見上げるように撮ってみました。赤い花の向こうに白い雲が見えました。雀がチュンチュンと鳴いています。