原爆の日
おはようございます。昨日から広島に来ています。今日、73回目の「原爆の日」を迎え、現在広島平和記念公園で「平和記念式典」が開かれ、85か国と欧州連合の大使らが参列しています。まもなく8時15分になります。
1分間の黙とうの後、松井市長の平和宣言が行われています。9分間の宣言の冒頭に「当事者に思いになって聴いてほしい」旨の言葉がありました。この言葉を私たちはどれほどの思いを持って受け留めることができるのでしょう。3月末時点で被爆者健康手帳を所持する人は154,859人、平均年齢は82.06歳となっています。
昨日、前任校の平和学習の取り組みの際にとてもお世話になったお礼と、個人的にも従前からたいへんお世話になっている理事長の坪井直先生(元広島市立城南中学校長)にお会いしたく広島県被爆者団体協議会の事務局に行ってきました。坪井先生は19歳の時に爆心地から僅か1.5qの通学途上で被爆されました。坪井先生の体験を、見た色、聞いた音、嗅いだ臭い、体に受けた激痛や突き刺すような熱さを、私たちはどれほど想像できるのでしょう。
坪井先生は、次世代の多くの人たちに被爆体験を話されてきました。その中で「語り部は1番辛いことは横に置いといて、2番、3番めに辛いことを言っとるんです。でも、本当は1番辛いことを聴いてほしいのです。」と話されました。奇跡的に生き延びたいのちと引き換えに、熱戦に蝕まれた体とともにどんな思いをされてきたのでしょう。73年経った今も厳しい後遺症は癒えることはありません。
式典では原爆死没者慰霊碑にこの1年で亡くなられた被爆者5,393人のお名前が新たに奉納されました。死没者は314,118人になりました。今後、被爆体験をどう受け継いでいけばよいのでしょう。自分の家族や大切な人の肌の色を黒と赤だけの絵具で描くことができるのでしょうか。そして与えられたいのちを大切に生きていくことができるのでしょうか。
本当に当事者の気持ちになることがどれほど難しいか、自分と向き合い、自分を思い知り、自分に何ができるか考えています。
空いっぱいの青空に蝉時雨、穏やかな夏の朝。広島の子どもたちは登校日、大切な学びの日です。