08.12.日  
昼下がり
 季節は少しずつ進んでいるようです。真昼の太陽は、ぎらぎらと容赦なく照りつけますが、西に傾いて影の長さが背丈より長くなると、これまでとは違うように感じます。気温そのものが低くなったのでしょうか。それとも影が長くなったことに秋を感じているのでしょうか。

 人が感じる暑さの要因は、「気温・湿度・風・日射」の4つだと言われています。今では、気温を下げ、湿度を取り、風を送るエアコンが最も活躍していますが、簾、葭簀、団扇…といった昔からあるものも、風を起こしたり、日射を遮ったり、この4要素のうちのいずれかに働きかけているものです。

 ところが、日本の蒸し暑い夏を凌ぐものに、蟲籠、風鈴、燈籠といったものもあります。蟲の鳴き声に、風鈴の音に、ゆらゆらと光蠢く灯に、秋の夜の涼しい風を連想しているのかもしれません。私たちは、音や光に季節の移ろいを感じ取る能力を持っているようです。

 数日前、中庭のクスノキのてっぺんの方から油蝉の鳴き声が聞こえてきました。いつの間にか蝉の主役がクマゼミから移っていたようです。声の主を探しましたが、見つけることはできませんでした。
 また、夜になるとエンマコオロギの「コロコロ…」と鳴く声が響いています。大阪では立秋の頃にコオロギが鳴き始めると言われています。

 食堂手前のヒマワリが見事に咲きました。稲も今夏の日照りと水枯れで葉先が茶色に焼けて見えますが、ずいぶん大きくなりました。忍び寄る秋の気配を確実に感じています。