10.24.火  
3年生現代文B
 継続中であった土砂災害警戒警報も解除されてひと安心です。しかし、台風21号による各地の被害は甚大で、亡くなられた方やご家族のことを思うと沈痛で無念でなりません。毎年、このような被害を繰り返す国に住む一人として、災害に強い町づくりが喫緊の課題であることを痛切に感じているところです。

 今日は1時間めにM先生の3年生現代文Bの授業を見学しました。辻 邦生の小説「風の琴 二十四の絵の物語」から「怖れ」の一節が題材です。話は、ヴィネツィアの運河を見下ろす豪華なアトリエに始まります。この世の栄誉も地位も財産も手に入れた老人のもとへ黒衣の男がやってきます。どうやら男は老人を黄泉の国へ連れて行こうとしているようです。老人は男が来るたびに、行く必要など全くないと、男を言いくるめて追い払ってきたのです。しかし、最後は…。

 老人の「死」に対する怖れの細やかな心の描写が、読者を老人の瞳の中の闇へと引き込んでいきます。授業の冒頭でM先生はおっしゃいました。
「小説を読むときは、全体をぼんやり読むことも大事だが、必ずどこかに人物の心情が読み取れる言葉がきちんと書いてある。『ここにこう書いてあるからこうなんだ』ときちっと読み取っていくことが実は大事です。」

 全くそのとおりだと思いました。だから言葉の一つひとつが、読者にいろいろと想像させる余地を残してくれるのだと感じました。

 老人の男への言葉の中に、「お前は、わしの幻想から生まれた、影の存在でしかない。」という部分があります。さて、老人はいつからこの影を見るようになったのでしょう。読書は楽しいです。



10.24.火  
2年生「古典B」
 3時間めはF先生の2年生「古典B」の授業を見学しました。題材は源氏物語の第1巻「桐壷」です。「いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」の源氏物語の有名な冒頭の一節です。主人公「光源氏」の母親の話から始まります。
 源氏物語は、謙譲語や尊敬語の敬語が多く、また、難解な語句の使い方もあり、少し難しく感じる人も多いかもしれません。しかし、長年に渡って読み継がれてきた名作であることには違いありません。頑張って源氏物語を読んで、古典文学の醍醐味を感じ取ってほしいと思います。

 まずは、当時の宮中のイメージが浮かんでくるでしょうか。F先生は教科書見開きのページにある内裏の図を生徒に見させながら、桐壷が中央から離れた位置にあることを教え、桐壷が「いとやむごとなき際にあらぬ」ことを確認させていました。そのうえで、正確な現代語訳ができるように一語一語丁寧に教えられていました。

 「どの帝の御代であるか。女御や更衣がたくさんお仕え申し上げなさった中に、それほど高貴な身分ではない人で格別に寵愛を受けていらっしゃる人がいた。」
 みんなしっかりノートを取っていました。
 
 



10.24.火  
What is the derivative? 〜2年「数学U」
 4時間めは、W先生の2年生「数学U」です。微分係数を求めるための関数(導関数)の学習です。数学Uの最も重要な項目といってよいでしょう。微分や積分の考え方は、日常生活の中で自然と使っていることが多くあります。数学できちんと学ぶことによって、それらの考え方が数式や言葉で表すことができるようになり、鮮明な知識となって頭の中に整理されていきます。
 ある有名な映画監督が、「映画づくりに数学を使っている」と言っていたと聞いたことがあります。数学のどの分野をどのように使っているかは教えてくれないそうです。見当違いかもしれませんが、微分や積分ではないかと推察しています。十分理解できるようになれば、世界が広がる分野であることには違いありません。はじめは難しいと思うでしょうが、投げ出さず頑張ってほしいと願っています。

 今日の授業では、なかなか面白い映像を観ることができました。前回に学んだ導関数の定義についての復習と、これから学ぶ導関数の求め方について、ナンシーという女性が透明のボードとマジックを使って実に分かりやすく説明しているものです。しかし、彼女はアメリカ・マサチューセッツ工科大学の卒業生、もちろんオール・イングリッシュです。
 W先生は、VTRの説明に出てくる主な数学用語を予め教えられていました。

 ただでさえ、初めは難しいと感じる導関数を英語で説明するVTRを見せるとは、なんと大胆なことをされるものだとも思いましたが、いざ見てみるととてもわかりやすく、少々英語が分からなくても十分理解できるものでした。
 数学は言葉の壁を越えてつながることができる「世界共通語」であることも分かりました。生徒の多くは理解しようと頑張っていました。