10.15.日  
てるてる坊主と1枚の地図
 今日は一日中しとしとと雨が降りました。濃いとも淡いとも言えないのっぺりした灰色の空から強いとも弱いとも言えない雨が降り続いています。どうやら明日もしばらく続きそうです。秋霖とはちょうどこのような雨のことを言うのでしょう。雨が止むと、またひとつ秋が深まりそうです。

 2年生の教室が並ぶ廊下に、沖縄県八重山列島の地図が貼られ、てるてる坊主が2つ掛けられたのは梅雨入りの頃だったでしょうか、もうずいぶん前になります。2年生は12月2日から5日までの3泊4日、修学旅行で八重山列島へ行きます。
 このような修学旅行を実施できるのも、保護者の皆様のご理解とご支援をいただいているからです。ありがとうございます。そして、長い期間をかけて準備を進められている2学年の先生方の熱意を感じているところです。
 
 旅先は大阪から那覇まで1,200q、そこからさらに400q以上も離れた所にあります。東の石垣島から西の与那国島までおよそ120qの間に、西表島、竹富島など大小23の島々があり、透き通ったオーシャンブルーの海とともに美しい世界が広がっています。
 とは言うものの、私も行ったことがありません。

 日本で唯一の熱帯雨林気候で沖縄本島とは異なった自然を有し、また、日本で最も南や西にある島の、海や山が放つ圧倒的な光と色彩の息吹の中で、そこで強く生きる人たちの生活を知り、歴史や文化を学び、想いを感じることは、高校生活の中でこの上ない貴重な経験の一つになるに違いありません。それが、「なぜ八重山か」の答えだと言えそうです。

 「そろそろ修学旅行の栞を完成させたいので」と巻頭の挨拶の原稿を学年主任のM先生に頼まれて1か月が経ってしまいました。今日こそは書き上げて明日には渡さねば、と朝から張り切ってみたものの、わずか十数行の文章が書けません。

 2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロの影響で沖縄への修学旅行を断念したことがあります。思ってもみないことでした。事前学習で何を学び、考えるのがよいか、少しでも沖縄の人たちの思いを感じることができればと、大正区の沖縄国際文庫に通った日々を思い出します。結局全くものになりませんでしたが、三線も習ってみました。
 あれから16年、今度はもっと遠い国境の島へと向かいます。今日は自宅にいて、一日沖縄を思いました。学校では、二人のてるてる坊主が今も優しく八重山の地図を見守ってくれています。素晴らしい旅行になりそうです。