1年国語総合(古典)
昨夜からの雨で恩智川の水量はとても多く、南から北へと川幅いっぱいに流れています。18世紀初頭に大和川が付け替わる前は、もっとたくさんの水がこの辺りを南から北へと流れていたのでしょう。
今日の授業見学は1年生。2時間めの国語総合(古典)と3時間めのコミュニケーション英語Tです。1年生の国語総合(古典)は、2クラス80人を3つに展開して行っています。今日はI先生のクラスを見学しました。
今日の内容は伊勢物語の「筒井筒」の段です。伊勢物語は、平安京を創めた桓武天皇の次に位についた平城天皇の孫の在原業平を主人公にした歌物語で、本文の内容や歌に込められた想いを理解するには、予め当時の時代背景や在原業平の人物像を把握しておく必要があると、I先生はおっしゃられていました。「筒井筒」は、業平が今の天理市に住んでいた頃に、幼馴染みと本意を遂げて結婚した
風吹けば 沖つ白波 たつた山 夜半にや 君がひとり越ゆらむ
「この歌には3つの Key Word がある。感受性の強い人ならわかるかも。さて、どれとどれとどれでしょう。」
授業の冒頭、なかなかの難問です。「答えは、〈風・波・たつ〉…〈波風が立つ〉いう言葉があるでしょう。」とI先生。「だから、この歌には次のような想いが込められているのです。」
「この家に波風が立つようなことをあなたがされているのを私は知っていますよ。」
さりげなく、〈風・波・たつ〉の語を入れて、夜毎に他の女性の所へ通う主人を見送る妻の心中を詠んでいる所が素晴らしい。こんな技巧ができるのは、おそらく業平自身か、小野小町かぐらいだとおっしゃられていました。
他にも、天理にある在原神社の話や、高安の女性のその後の話など、教科書や参考書には載っていない話が盛りだくさんで、知らないうちにI先生の世界に引き込まれていきます。歌や物語は、読み手が想像する余地を残してくれているので面白いです。
この段の話は、同じものが大和物語149段にもあります。相当有名な話であったようです。生徒が古語辞典を引くことも多く、しっかり学べて、感性の響く感動的な授業でした。ありがとうございました。